第112章 恋愛で※
「・・・手加減できなくなるぞ」
切羽詰まったようなそれだからなのか、少し怒っているようにも聞こえる声色を耳にしつつも、彼の耳から口を離すことはしなかった。
「ンっ、・・・んぅ・・・ッ!!」
それ故か、彼は忠告通り手加減無しで私を突き上げ始めて。
鼻にかかった、くぐもった声を彼の耳元で直接吐き出した。
「っん、く・・・あ、いぁ・・・! 」
それでも快楽に耐えかね、口内から彼の耳朶を解放すると、一際強く奥を擦るように突き上げられた。
「・・・や、ぁ・・・あぁ・・・っ!!」
さっきのお風呂が本当に意味のなかったように。
今度は雨ではなく、しっかりと汗ばんでいて。
限界は恐らく、とっくに迎えているけれど。
体がこれ以上を求めるのは・・・今まで彼に何度も抱かれたせいだろうか。
「っ・・・は・・・」
苦しそうな彼の吐息が、ふと私に届いて。
動きや声色、彼が私を抱き締める力の強さも、そうだけど。
「零・・・っい、く・・・っ」
自分が達してしまいそうな感覚で、彼をナカで締め付けた故の吐息なのだと察しながら、再び限界が近いと体を震わせた。
「・・・ひなた」
・・・その声はズルい。
心臓を鷲掴みにされるような声で名前を呼ばれると、視線だけで返事をしたけれど。
「顔・・・向けてくれ」
彼にはそれ以上を求められて。
その言葉に引き寄せられるように顔を彼へと向けると、視線が混じりあい、彼の満足そうな笑みが私の瞳に映された。
「ン、んん・・・っあ、ぃあ・・・ッ!」
・・・私が上になっているのだから。
主導権は私が握れるはずなのに。
それでも動きは限りなく、彼が主導権を握っていて。
「ひなた」
・・・また。
そんな声で呼ぶ。
それが引き金になっていることを、彼は。
「や・・・っあぁぁぁ・・・ッ!!!」
気付いているのだろうか。