第112章 恋愛で※

「だが、明確に別れを告げていなかったのは罪だったな」
「うっ･･･」

確かに、自然消滅というのは良くなかった。
ただその一方。

「でも正直、付き合ってたかどうかも私には分からなかったから･･･」

彼にとって、私はどういう存在だったのか。
何故好意を寄せてくれたのか。

彼の考えを聞くことは、もうないだろうけど。

「それでも、体の関係が無かった訳ではないだろう？」
「！」

そんな事まで聞くのか、と思わず驚いて振り向けば、何故か零の方が目を丸くして私を見ていて。

「無かったのか？」

純粋な質問。
彼の目には、そう書いてあるようだった。

「零が想像してる通り･･･だよ」
「そうか」

彼の言う通り、潔白ではない。
一度ではあったが、そういう関係にもなった。

そういう事をすれば気持ちも変わるのか、と半分自分を試した所もある。

今思えば最低で、後先考え無い行動過ぎたと思うが。

「･･････」

こういう事も、知っておきたいという情報の内なのだろうか。
正直私には、理解し難い思考かもしれない。

寧ろ彼はこういう話を聞けば･･･。

「僕が怒るか嫉妬するとでも、思っていたのか？」
「･･･少し」

心を読まれた。
目を合わせればすぐにそうなってしまうのは、私が分かりやす過ぎるのだろうけど。

「僕から聞いてるんだ。別にしないさ」

そういうものなのだろうか。
確かに聞いておいてそうされるのは、こちらとしても困る所ではあるが。

「それに今は、僕だけの人だからな」
「！」

そう言いながら、振り向く形で彼を見ていた私の唇を彼の唇で塞がれて。

「んぅ･･･ンんっ･･･！」

ヌルッと入ってきた舌に溶かされそうな程、口内を掻き乱された。

この体中が熱くなっていく感覚は、お湯か彼か、どちらのせいなのか。