第112章 恋愛で※
「!」
下着が透けないようにしていたとはいえ、体にピタリと張り付いた服は、体のラインをはっきりと示していて。
遅過ぎるのは分かっているが、今更とんでもない羞恥が襲ってくると、咄嗟に体を覆うように腕で体を隠した。
「ご、ごめん・・・」
配慮が足りなかった、と俯き謝れば、冷えきったその体を向かい合わせるように回転させると、零は優しく私を抱き寄せた。
「もうこんな嫉妬、捨ててしまえれば良いのだがな」
・・・捨てても大丈夫。
という言葉だけでは、きっと不十分で。
これは彼の個性で、直るものでも直すべきものでもないと思っている。
「僕の一生を見届けてくれる人だと、自慢できるくらいに」
そんな彼の全てを受け入れ愛し抜く覚悟がある。
そう心の中で改めて決心していると、彼の言葉が終わるか否か。
「・・・っ、ん・・・!」
突然、温かい感覚を首筋に感じた。
抱き締められている体勢ということもあり、彼の唇が触れ、そのまま舌が這っていることはすぐに分かった。
けれど、チクリと刺すような軽い痛みが走った瞬間、漏れ出る声と共に、体は比較的大きく震えてしまって。
「零・・・っ、そこは、ダメ・・・!」
首筋の、それなりに高い位置。
ゾクゾクとする、力が抜けるような感覚に襲われながら、引き剥がそうとしたけれど。
「・・・ッ」
力が強い上に、こちらは力が入らない。
抵抗できるはずもなく。
彼が首筋からゆっくりと唇を離し、体の自由がきくようになった瞬間。
鏡で慌ててその場所を確認すれば、赤く、くっきりとした痕が残されていた。
「ダメって言っ・・・ん・・・!」
ハイネック以外では服で隠せない位置。
そんな場所につけられたから。
文句を言いながら振り返ろうとしたその瞬間、言葉は口内に置き去りのまま、唇は再び塞がれてしまって。
絡む舌で、言葉も、言う気力も、全てを溶かされた。