第110章 キスで※
「酔っても潰れはしないくせに・・・」
彼に聞こえるか否かの声量でボヤくように呟いては、ヤケ酒のようにホットミルクを流し込んで。
胃に温かさが広がっていくのを感じていると、自然と瞼が閉じられた。
その、数秒後。
「・・・っんむ・・・」
手元のマグカップと、唇に違和感を感じて。
握られていた空のカップを彼に取り上げられながら、唇は彼の唇で塞がれていることに気付いたのは、その数秒後。
そのまま押し倒されるようにベッドへと体を沈ませると、体に掛けていたタオルケットは、はだけてしまって。
「キスを強請られているのかと思った」
そう冗談めいた口振りで言いながら、不敵な笑みを向けた。
「服は、着ないのか?」
視線は私から逸らさないまま、下着姿の体を露わにされると、その腹部に指が這わされるように滑って。
「・・・着て、ほしい・・・?」
つまり、さっきの続きはしても良いのか、という彼の問いかけに対し、ここで止められるの?と返事をしたつもりで。
「いいや」
返事は最初から分かっている。
「折角、許可を取ったんだからな」
分かった上での、再確認のようなもので。
「・・・っ、ん・・・」
それを互いにすると、再び唇を重ね合わせ舌を絡ませた。
「・・・甘いな」
それは彼が蜂蜜を混ぜたせいだと目で応えると、さっきよりも更に不敵な笑みを向けられて。
・・・もしやそれも計算の内で混ぜたのではないかと、ふと疑い始めた。
「ッ・・・」
そんな中、首筋にキスが落とされた瞬間にさっきの出来事がフラッシュバックしてきて。
「い、意地悪はもう・・・!」
「しないさ。素より、したつもりは無いがな」
確かにお仕置という言葉が正しかったのかもしれないが。
それでもさっきのは勘弁だと目で訴えると、何故かフッと笑われ耳に舌を這わされた。