第108章 零まで※

「･･･どこで覚えてきた、そんなこと」

覚えてきたというよりは、覚えさせられたというのが正しい気がする。

それは目の前の貴方に、と直接言いたいとこではあるが、それを口にすることはどこか気が引けて。

「･･･いれない、の？」

少し誤魔化すように、ポツリと。

目を伏せながら単純な質問を呟くように口にすると、彼の動きが少しの間止まった。

「っ、とに･･･」

その後、彼が吐き出すように、何か言ったように聞こえたが、それをハッキリと聞き取ることはできなくて。

何を言ったのかと尋ねるように伏せた視線を上げると、同時に突然、口を彼の口で塞がれた。

「んぅ、ンん･･･！！」

それはゆったりしたものではなく、激しく舌を絡めた深いもので。

食べられている、と感じる程には荒々しく、少し彼らしくないとも思ってしまうくらいのものだった。

「っく、ん･･･ぅ、ンんぅ･･･ッ」

目眩が、する。

空気を取り込めない為か、彼に溺れているせいか分からないが。

いずれにせよ原因は彼で間違いは無く。

「煽るのは大概にしろ」

ようやくその唇が離れたかと思っていると、半分怒っているようにも聞こえる声色で、そう言われた。

「本当に手加減できなくなる」

･･･と、同時に目に映ったのは。

あまりにも余裕の無い、彼の表情で。

それは私を煽るのには十分過ぎた。

「ひぁ、ぅ･･･あぁあ･･･ッ！！！」

ゾクゾクと欲望が再び湧き上がる中、彼のモノがズブッと私に入ってきて。

一瞬でおかしくなりそうなフワフワとした感覚の中、叫ぶような甲高い声を部屋に響かせた。

「･･･ひなたっ」

軽く、ではあるけれど。
また達してしまった。

入れられただけなのに。
彼が入ってきた、だけなのに。

「っふ･･･ぅ、ぁあ･･･あ･･･ッ」

それでも彼の動きは、緩やかではあるが止まらなくて。

その度、耳まで犯されそうな粘着質な音が、結合部から漏れていた。