第108章 零まで※
「・・・ッ」
見つめ、られている。
ぼんやりとした視界でもそれが分かるくらいに、彼の眼光が鋭くて。
目を逸らしたいのに逸らせなくて、ただ緩んだ表情で、静かに見つめ返した。
「ん・・・ッ!!」
見られていたせいか、一瞬油断していた。
彼の目が綺麗だと、少し思っていただけなのに。
太ももを這っていた彼の指が、下着越しに秘部を優しく撫でて。
ビリビリッと電気が走るように刺激が体中を駆け巡ると、更に情けなく表情を歪ませた。
「・・・可愛い」
また、そんなことを言う。
本当におかしくなるから、やめてほしいのに。
言いながら彼の指が更に動いて。
理性が音を立てて崩れていった。
「れ、い・・・っあぁ・・・!!」
緩やかに、優しく。
でも確実に弱い部分を狙って触れてくる。
私のそこは変わらないままで、彼もまた未だにそこを覚えているのだと思うと、別の羞恥心が込み上げてくるようだった。
「・・・その表情、もっと歪ませたくなる」
言われて彼を見つめ直すが、自分が今どんな顔をしているのかなんて知るはずもなくて。
どんな顔かなんて、気にすることもできなくて。
ただひたすらに体は快楽を求め、脳では僅かな理性が働く。
その中で私は踊らされているようで。
「ひぁ、ぅ・・・っあァ・・・!!」
欲望通り、私の表情を更に歪ませるように、彼は舌を私の首筋に這わせながら、下着の隙間から指を滑り込ませた。
同時に別の快楽を与えられた体はビクビクと痙攣し、押さえつけられている手からどうにか逃れようと、無意識に力を込めた。
「れ・・・っ、ァあ・・・や、ッ!!」
彼の骨ばった長い指が、今度は直接秘部を撫でる。
もう破裂しそうな程、私の欲求は最高潮に膨れ上がり、もう少し確実な快楽があれば達していましそう、なのに。
その確実な快楽が、与えられなくて。
もじもじと勝手に動く足腰は、自分でも彼を誘っているとしか思えない動きだった。