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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第108章 零まで※




「ひなた」
「ッ・・・」

艶っぽい声が、耳をくすぐって。
掛かる息も、妙な気持ちを高ぶらせる。

・・・私の方が、おかしくなりそうだ。

「・・・キス、してもいいか」

もう、触れそうな所まで来ているのに。
これでダメだと言ったらどうなるのか。

それとも、言うはずがないと最初から分かっているのか。

再び小さく頷いて返事をすると、焦らすように何度か口先が触れて。

自分から触れ合わせたくなる欲求が溜まりつつある中、彼が啄むように唇で私の唇を軽く挟んだ。

「・・・っ」

何度も、小さく、触れては離れる。
これが物足りないと感じるのは、はしたないだろうか。

「れい・・・っ」

背中に回していた手の力を強め、彼の服をキュッと掴むと、名前を呼んで強請った。

「・・・っ!」

何も激しいことはしていないのに。
2人の呼吸は荒さを増すばかりで。

そんな中、彼の舌が私の唇を優しく這った。

それに驚いて一瞬口を閉じてしまったが、彼の舌が隙間からスルリと侵入してきて。

「ン、ぅ・・・」

溶かされそうなキスに、クラクラとするような感覚に襲われた。

キスなら、アメリカで再開した時にもしたのに。
とても久しぶりに感じるのは何故なのか。

「・・・本当に大丈夫か」
「ん・・・」

ここまで来て、逆に引き返せるのだろうか。

少なくとも私は・・・。

「零の好きにして・・・大丈夫・・・」

もう、無理だ。

「・・・後悔するぞ」
「しない」

そんなもの、向こうで全部捨ててきた。
緊張だけは捨てきれなかったようだけど。

今、捨てられた。
・・・少しだけ。

「零に、触れていてほしい」

だからもう、焦らさないでほしい。

「・・・あまり煽らないでくれ」

絞り出すような声で言われると、こちらの残り少ない余裕も搾り取られるようで。

「たがが外れる」

もう一度、唇に優しくキスが落とされると、服の裾から彼の手が滑ってくるのを感じた。

「ン・・・っ」

冷たい。
でもその冷たさが心地好い。

1年以上、求めていた感覚。
もう2度と無いと思っていた。

・・・私はこれに甘えることを、許されるのだろうか。



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