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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第105章 意図的




その後は、それ以上彼が何かを聞いてくる事もなく、ただ静かに夜が過ぎ去っていった。

どちらかと言えば、もう話はしたくないと私が気持ちを閉ざしてしまった、という方が正しいかもしれない。

大人気無いとは思ったが、それ程までに彼が私を頼ってくれなかったことが、悔しくて虚しくて、寂しかったから。

ーーー

「・・・ひなた」
「ん・・・」

次の日。
珍しく彼は私を軽く揺さぶり起こして。

朝にしては暗く、夜と言う程でもない明るさ。
・・・明け方には間違いなさそうだけど。

いつも早く出る時は静かに部屋を出ていくのに。

まだ覚めきらない体をゆっくり起こすと、彼は私の額にそっと唇を触れさせて。

「悪いが、すぐに出る準備をしてくれ」
「・・・?」

寝ぼけ眼で彼を見るが、あまり焦点も定まらず。
頭をボーッとさせながらも、ベッドから体を下ろした。

「ひなた」

珍しく急かすように話す彼に、ようやく脳が反応した。

そうなれば、焦点も段々と定まってきて。

「・・・何かあったの?」
「詳しいことはあとだ。とりあえず・・・出るぞ」

彼は、私の着替えを待つ素振りを僅かに見せたが、それ以上に何かに急いでいるようで。

結局適当に私の服を手に持つと、彼が着ていたスーツを肩に掛けられ、玄関へと手を引かれた。

何も言う暇も与えられないまま体が勝手に靴を履くと、外へと連れ出された。

部屋着だということも忘れてしまいそうになるくらい。
脳は混乱状態だったが、正そうとする意識さえも持てなかった。

「すまないが、今日は後部座席に乗ってくれ」
「う、うん・・・?」

急かされてはいるが、彼はどこか落ち着いた様子にも見える。

・・・いや、意識的に自分を落ち着かせようとしているのだろうか。
だから妙に、違和感があるのか。

「そこに帽子があるだろ。それを被っていろ」
「分かった・・・」

彼が言った帽子は、昨日私が被っていたものだった。

何が何だかよく分からないが、今は脳が考えることをやめてしまっていた為、彼の言う通りに動くしかなかった。




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