第104章 終って※
「呼吸、整えていてくれ」
「・・・?」
呼吸を・・・整える?
何の為に・・・?
そう疑問を持ちつつも、整えていれば再び眠気が襲ってきて。
私の体の構造上、こういう風に作られているから仕方がない。
そう少し開き直るように瞼を閉じると、フッと息を吐くように短く笑う彼の声が聞こえてきた。
「・・・あまり無防備な姿を見せないでくれないか」
そう耳元で囁かれると、達したばかりの体はピクッと反応してしまって。
酷く体が敏感だ。
今こんな時に彼に触れられでもしたら。
「・・・っひゃ、あ・・・!」
という考えは、どうやら自分で伏線を作ってしまったようで。
「零・・・!」
彼の舌が私の耳に触れただけではあったが、それでも今の私には強過ぎる快楽で。
今はダメだと言うように、上半身を反射で浮かし彼の名前を強めに呼ぶと、優しい表情で見つめる彼の姿が目に飛び込んできた。
・・・私は本当に単純な生き物だ。
彼のこの表情で。
「嫌、か?」
目は一瞬にして覚めてしまう。
「・・・っ」
彼が何をしたいのか、私はどうなるのか。
流石に察しはついていた。
でも限界をとっくに超えているのも確かで。
「無理をさせている自覚はある。だからひなたが嫌なら、これ以上手は出さない」
今まで、潰れるほど私を抱くことはあったけれど、ここまでどこか執着的なのは初めてかもしれない。
まるで彼が、見えない何かに動かされているようだ。
「今日はどうにも・・・おさまらないんだ」
優しさの奥に、苦しさと衝動が見える。
そんな表情をしておいて。
そこまで言っておいて。
「・・・ずるい」
だから謝ったくせに。
呼吸を整えさせたくせに。
準備だけさせておいて突き放すのは、流石にズルい。
「嫌って言わせないでしょ・・・」
私も、言えないのだけれど。
彼からそっと視線を外すと、少し冷たさを失った彼の手が、私の右肩へと触れた。