第104章 終って※
「あぁッ・・・零っ、・・・れ、い・・・!!」
肌がぶつかり合う音が響く。
それだけの音が、こんなにも艶めかしく聞こえてくるなんて。
「っ、ひぁ・・・ァ・・・イク・・・ッ」
自分がこんなにも淫らで、貪欲だなんて。
彼に会うまで知りもしなかった。
いや、彼と会ったから・・・こうなってしまったのか。
でもそれが悪い事だとは、勿論思っていない。
「・・・ひなた・・・ッ」
彼が呼ぶ声はいつも引き金だ。
快楽の沼の縁に立った私を、撃ち堕としてくる。
確実に、狂いなく。
「零・・・ッあぁ・・・いぁあ、ぁあ・・・!!」
「・・・ッ」
奥底に堕ちるまで。
何度も脳内に響く。
「・・・っ、あ・・・」
達した後、体は大きく痙攣しながら視界を白くした。
瞼の裏ではチカチカと何かが光って。
彼が私のナカで脈打つのが分かるくらいに、欲望を吐き出されたのを感じた。
「お・・・っと」
その瞬間、体は一瞬にして力を無くし、前へと倒れ込むように傾いて。
それを彼が僅かに体を浮かし、咄嗟に受け止めてくれた。
「・・・ごめ・・・」
言葉を発する事も億劫で。
体力は本当に底をついていた。
「何に謝っている?」
それは・・・倒れた事もそうだけど、拙い動きで申し訳なかった。
そう答えたかったけれど、くったりと彼に預けた体は唇すら動かせなくて。
ほんの数十秒前までは、あんなに動いていたのに。
「・・・少し、動かすぞ」
返事も何もできないままでいると、彼は一度そう声を掛けて私をベッドへと転がして。
「ン・・・っ」
私のナカを埋め尽くしていた彼のモノが引き抜かれると、更に脱力感が増すようだった。
「ひなた」
彼の呼び掛けに視線だけで返事をして。
チラリと目が合えば、彼は優しく私の頭を撫でた。
「・・・すまない」
どこか切なく、詰まる様な声で今度は彼が謝って。
何故謝るのかと思ったが、その答えが分かるのはすぐの事だった。