第103章 これで※

「動かしても･･･大丈夫･･･？」
「･･･ああ」

念の為許可を取ると、彼の手が添えられる中、再び手をゆっくり動かし始めた。

動かす度、先の方から液が溢れてくる。
きっと私も、毎回こういう風になっているのだろうな。

「･･･っ、は･･･」

そう感じながら先へと指を動かしそこを掠めた瞬間、突然先程よりも彼の体が大きく震えて。

思わず彼の表情に目をやれば、そこには見たこともないくらいに余裕の無く、握った手を口元に当てて声を押し殺す彼の姿があった。

その姿に、何故か体が反応して。
触れられてもいないのに、秘部から愛液が溢れる感覚を味わった。

「･･･あまり見ないでくれ」

誤魔化すように顔を逸らしては何事もなかったかのようにする彼に、発した言葉と共にズルいなと心の中で呟いて。

「やだ、私にも見せて」
「･･･ッ･･･！」

さっきまで、私の顔を散々眺めていたくせに。
自分のは見せないなんてズルすぎる。

彼がそうなのか男性がそうなのかは分からないが、先の方が弱いことは分かったから。

全体を優しく擦り上げる中で、何度か先を優しく攻め上げた。

「･･･っ、ぁ･･･ひなた･･･ッ」

･･･聞いたことない。
こんな切羽詰まった、余裕の無い声。

彼も、こんな声が出るのか。

そしてそんな声を出させているのが、私だなんて。

「っ、ふ･･･ッ」

息が荒い。
それにつられて、私も息が荒くなってくる。

そういえば彼も私を愛撫している時、息が荒くなっていたなと思い出して。
その意味が、ようやく私にも分かった気がした。

「零が声を我慢するの、ズルいよ」

相変わらず固く握った手を口元に当てる彼にそう言うと、その手に私の手を重ねゆっくり取り払って。

「･･･聞かせて」

彼がするように顔をグッと彼に近付けると、目と目が合った。

･･･相手を愛撫する時は、こんな気持ちなのか。

酷くふわふわとして、幸せで満たされていくようだ。