第103章 これで※
「れい・・・っ、れ、ぃ・・・ッ」
指を入れられているだけなのに。
こんなにも苦しくなるものだっただろうか。
「・・・ひなた」
彼の顔が目の前に来たかと思うと、顎をクッと持ち上げられて。
その甘い声で呼ばれる名前は媚薬のように、私をもっと過敏に、もっとだらしなくさせていく。
「っあ、やぁあ・・・ッ!!」
音、が。
彼の指が動く度にグチュグチュと粘着質な音が響く。
それが恥ずかしくて、止めたくて。
半分意識的に、でも半分は無意識に、矛盾するような形で彼の指を締め付けた。
「力、ちゃんと抜いてろ」
指が入っている限りそれは無理だ、と言いたいのを耐えて、私の顎に添えている彼の手を掴んで。
体力的に早くも限界が近くなっているのは、彼も気が付いているはずなのに。
「もう少しだけ、その顔を見せてくれ」
「ひゃ、う・・・あぁッ!!」
何故かその限界を早めるようなことをしてくる。
わざと音を立てるように指を動かされると、声は更に甘く、高く、我慢できなくなってきて。
「あ、ァっ、いぁ・・・!」
また、堕ちる。
まだ、堕ちたくないのに。
嫌という訳ではないけれど。
ずっと彼のペースに巻き込まれている。
・・・それが良いのかどうなのかが、不安で。
「っ、あぁ・・・っん、あぁぁ・・・ッ!!」
また、堕ちてしまった。
流石にこう連続で達すると、簡単には体に力も入れられない。
「大丈夫か?」
こうさせたのは彼なのに。
それでもそう声を掛けてくれたことに、小さく頷いて。
「・・・すまない、少し意地悪をした」
そう言いながら、ナカから彼の指が引き抜かれて。
ピクっと小さく震えると、その体を彼に包まれた。
「ひなたが可愛過ぎて、つい虐めたくなった」
子どものような言い訳を口にしながらも、私を抱きしめる強さは大人の男性のもので。
それに対しては酷くひ弱ながらも、私も彼を抱き締め返した。