第103章 これで※
「愛してる」
吐息混じりに聞こえたそれが、全身に響いていって。
神経までが犯されていくようで。
「・・・ッ」
言葉にしてほしいと彼がいつも言う通り、彼はいつもこうして言葉をくれる。
それがどんなに恥ずかしく、歯の浮くようなものでも。
平気な顔で、言ってみせる。
「れ・・・っ、あ・・・!」
私が名前を呼ぶ隙は与えられなくて。
耳に温かい感触を感じた時、抑えていた声も抑えられなくなった。
「・・・ひなた」
「喋、っちゃ・・・だめ・・・!」
耳朶を口に含まれながら名前を呼ばれれば、一気におかしくなってしまいそうで。
軽く掴んでいた彼の肩には、知らぬ間に私の指が強く押し付けられていた。
「傍に居ない間、気が狂いそうだった」
「・・・ッ、あ・・・」
下着の隙間から指が入り込み、胸の膨らみに添えられる。
それを指全体で撫でるように動かされれば、蕾へと行き着いて。
「あの男の隣に居て、暮らしてるかと思うと」
彼は耳へ、頬へ、額へ。
「気が気じゃなかった」
ゆっくりと一つずつ、彼は確実にキスをしていくと、留めていた思いを吐き出していった。
「嫉妬深い自覚はあったが、自分がこんなにも貪欲だとは思いもしなかった」
「ン、ぅ・・・ふぁ・・・!」
手は止められる事無く、理性を砕いてくる動きをしてきて。
蕾を転がしたり、摘んだり、時折膨らみを優しく揉むように触れて。
「でもあの男に僕の事を話しているのを聞いて、正直頬が緩んだ」
鼻先にキスが落とされると、彼はようやく私に目を合わせてくれた。
その目はいつものように、真っ直ぐ、私だけを見つめる目で。
「ひなたが、可愛すぎて」
そんな目で見つめられながらそんな事を言われれば、顔が熱くならないはずがない。
けど。
「ただそれをあの男に見せたのは、いただけないな」
次に聞かされたその言葉で、体の中の何かがヒヤッと冷えたのも、また事実で。