第101章 知って※
「その返事が、集中してない証拠だろ」
返事をした事が問題だったのか、返事の内容が問題だったのか。
・・・もうこの際、どちらでも良いけど。
どっちみち、嘘に変わりないのだから。
「やっ、ぁ・・・!」
彼の指の角度が、変わった。
いつもは刺激されないような部分を刺激され、妙な異物感を感じる。
そこにある快楽は、酷く微弱で。
深く堕ちていく感覚が遠のくのをムズムズと感じた。
「・・・ひなた」
今日はいつも以上に名前を呼ばれる気がする。
それは私も同じのように思うが。
「何か言いたいんじゃないのか」
突然そう聞かれたが、言いたいかどうかは分からなくて。
「・・・・・・」
・・・言って良いのか、分からなくて。
ただ無言で彼から視線を逸らす事しかできなかった。
「不満か、不安か、それ以外か」
答えに迷いがある事を見透かしてか、彼はこの状況で三つの選択肢を出してきて。
でもそれは、私を更に迷わせるものだった。
「・・・分か、らない・・・」
この感情が何なのか。
言いたい事が何なのか。
整理ができない。
こう答えた時点で、さっきの無言が肯定になってしまった事にも、気が回ってなんかいなかった。
「じゃあ、今考えていた事を言ってくれ」
逸らしていた視線を戻すように、彼は片手で私の両頬を掴むと、グッと顔を近付けた。
「僕の事じゃないのか?」
「ちが・・・っひぁ・・・ッ!!」
違う。
咄嗟にそう答えようとしたけど。
それは答えとして正しかったのだろうか。
そんな考えが吹っ飛んでしまうくらいに与えられた快楽は、ナカに入る彼の指が与えたものだった。
「この場合の違うは、どっちの意味か聞かせてもらおうか」
ナカで彼の指がくるりと反転し、グッと奥を刺激した。
いきなり過ぎるそれと、来るとは思っていた彼の問い詰めに、脳内は混乱し始めていて。
言いかけた言葉でも聞き逃さない。
そして答えはハッキリと出す。
その彼らしさに、今は追い詰められている。