第99章 生きて※
「っあ、ァあ・・・やぁぁ・・・ッ!!」
自分が想定していた瞬間ではない時に堕ちたせいか、妙な感覚を味わった。
いつも以上に頭の中が真っ白で・・・ふわふわと浮いてしまうような感覚。
そのせいで、ぐったりとただ呼吸を繰り返すだけの生き物になっていると、彼は再び腰を動かし始め。
「ひぁ、っあ・・・待っ、零・・・ッ!!」
待ってくれないのは分かっている。
けれど、反射的に出てきてしまう。
「・・・っ」
目の前にある彼の顔が、歪んだ。
少し前に見たあの表情とは全く違う。
彼もまた、快楽に溺れた表情をしている。
その顔に、はしたなくも欲情してしまった。
「あまり・・・締める、な・・・っ」
それはあくまでも無意識だった。
欲情した瞬間だったということは分かるが、その意識は無くて。
不可抗力だと首を振った瞬間、彼の打ち付けは強く早くなった。
「や、あぁ・・・っ!!」
何度も続けて達しているせいで、体はガクガクと震え、その瞬間を貪欲に求め過ぎる。
だからなのか、とにかくどこかを掴みたくて。
顔や口を覆いたくて。
彼と繋いでいた手を解こうと、その手を引きかけた時だった。
「どこにも、行くな・・・っ」
そう言って、彼は繋いでいた手を解かせまいと、力を更に強めた。
「っ、あぁぁ・・・!!・・・れ、ぃ・・・ッ」
どこにも行くな。
どこか引っ掛かりを覚えるようなその言葉に気を取られていると、弱い部分を的確に強く突き上げられた。
甲高い声をあげながら力を強められた手を握り返すと、彼からも僅かに甘い吐息が聞こえてきて。
「れ・・・ッ、も、むり・・・っ」
また堕ちそうだ。
堕ち続けたせいで、ずっとその中で掻き混ぜられている。
「力、抜いてろ・・・っ」
できない。
今は何もできない。
ただ甘ったるい声を上げて、快楽に溺れる以外は。
何も、できない。