第99章 生きて※
「ふぁ・・・あ、ンん・・・っ!!」
ダメだ。
やっぱり、すぐにイってしまいそうだ。
それほど長く、強くはされていないのに。
焦らされ、高ぶらせ、久しぶりなせいで。
我慢なんて、できそうにもなくて。
「っ、ンんぅ・・・ん、く・・・ッ!!」
果てそう。
もう少しでその瞬間、だったのに。
「・・・っは、はぁ・・・ぁ・・・」
そこまで届く寸前に、彼の指は突然引き抜かれた。
それと同時に、触れていた唇も離されて。
「れ・・・、零・・・ッ」
荒ぶる息を肩でしながら吐息混じりに彼の名を呼ぶと、彼は私を見下ろしながら悪い笑みを見せて。
「自分でイってみせてくれ」
その言葉に、一瞬耳を疑った。
「ど・・・」
どういう意味で。
そう問う前に、彼は私を抱き抱えるようにしてベッドに座らせると、纏っていた服を全て脱ぎ始めた。
「・・・っ!」
別に、彼の裸を見るのは初めてではないのに、今日は何だか恥ずかしくて。
つい彼から目を逸らしてしまった。
「!」
その数秒後、顎を掴まれたかと思うと、グイッと彼の方へと向き直されて。
「見ていろと言っただろう」
・・・前にこんな事があった時は、彼が恥ずかしがっていたのに。
どうして今日はこんなにも強気なのか。
「・・・・・・」
彼が避妊具を付ける間も目は離さなかったが、直前まで高ぶらされた体は、落ち着きを見せなくて。
もじもじと勝手に動く体を押さえつけていると、避妊具を付け終えた彼が両手を広げ、おいでと無言で指示をした。
優しい笑顔は悪魔の囁きのように惹き付けられるもので、体は自然と吸い込まれるように、彼の腕の中におさまった。
「寒くないか」
「・・・うん、大丈夫」
お互い生まれたままの姿で抱き合えば、体温を一際強く感じた。
心臓の音が、二人重なるようで。
安心感という言葉だけが、体を包んでいった。