第97章 最終的
「随分回りくどい質問の仕方をするんだな」
「答えてください」
心臓が、張り裂けそうなくらい強く脈を打つ。
分かっているのに。
赤井さんが、あの男を始末するはずがないのに。
それでもどこか・・・不安があって。
「残念だが、答えはノーだ」
その返事に、心臓は一際強くドクンと音を立てた。
胸が苦しくて、息をするのが痛くて。
分かりやすく、動揺してしまった。
「四発は撃っている」
そして、彼の続けての答えに目を泳がせた。
・・・四発。
男に撃った最初の二発と、その後外で肺と頭を撃ち抜いた・・・ということなのか。
・・・いや、でも。
そういえば、男が致命傷を受けるその前に一発・・・。
「君は何か勘違いしているようだな」
「・・・?」
相変わらず、人の考えを読むのが好きな人だ。
首を小さく傾けながら、勘違いとは、と無言で尋ねると彼は言葉を続けた。
「あの男にトドメがさされる瞬間、男は君に何をした?」
・・・あの男が、私に?
何を・・・しただろう。
確か・・・私を突き倒し、て・・・。
「・・・!」
そうだ、男は私を突き倒して、撃たれた。
だとすると、最初に狙われていたのは。
「君の推理からすると、俺は君を狙ったことになるが」
赤井さんがそんな事・・・するはずがない。
・・・これが彼との取引に引っ掛かるというなら、話は別だけど。
今回は違う。
「・・・赤井さんの方が十分、回りくどいじゃないですか」
「それは失礼した」
もう考えるのはやめよう。
答えを聞けば直ぐなのだから。
・・・赤井さんが、教えてくれるというのなら。
「俺が最初に撃ったのは、君達が小屋にいる時に三発。当初はそれで終えたはずだったんだ」
三発・・・?
「唯一の灯りがあっただろう。それを無くさなければ、隙を作れなかった」
・・・そういえば。
ランタンが撃たれ、辺りが暗くなった瞬間があった。
あれは零か男が撃ったものだと思っていたが、赤井さんだったのか。