第93章 重ねて※
「・・・!?」
ぐったりと力無く突っ伏していると、再び体はくるりと反転させられた。
・・・彼のモノは、私のナカを貫いたまま。
「れ・・・っ」
「今度は、顔が見たい」
そう言う彼の顔を見れば、薄らと額に滲み、そこから流れて頬を伝う汗、そして僅かに荒れている呼吸に心臓がキュッと締め付けられた。
見下ろす彼の視線をまともに受け取ると、その色気に耐えられなくて。
視線を逸らすと共に手で顔を覆い隠すと、彼の手がその横に突き、ベッドを少しだけ軋ませた。
「隠すな。顔が見たいと言っただろ。・・・それと、そんなに何度も締めないでくれ」
「だって・・・っ」
そんな目で見られたら。
隠したくもなるし、無意識に締め上げてしまう。
それは貴方を。
例えあんな事があっても。
一度は味方でないと判断した今でも。
途方も無く、愛しているから。
「だって・・・、なんだ」
・・・あぁ。
意地悪な声だ。
「ひなた」
その声も。
「聞かせてくれ」
その冷たい手も。
「・・・ひなた」
・・・全部。
「好きだから・・・っ」
だから、制御なんてできない。
「零が、好きだから・・・こうなってるの・・・っ」
顔を覆っていた手は彼に指を絡まされ、既に退かされていた。
その手がピクリと動いた時、また彼を締め上げたことを悟って。
開き直りのような言葉を吐いては、また欲望が体を侵食してきた。
「・・・ッ」
そんな中。
彼の体が密着して。
零の体温と共に、のしかかる重さを感じた。
「食いちぎるつもりか」
その言葉と同時に苦しいくらいに抱き締められて。
「・・・ンっ、ん・・・」
ナカで、彼のモノが大きくなったように感じた。
それに耐えるように。
彼に縋るように。
零の背中に手を回すと、グッと力を込めて。
「・・・いじわる」
知ってるくせに。
知ってたくせに。
私が、零を好きな事なんて。
何故、締め付けているかなんて。
それでも彼は、いつも敢えて口にさせる。