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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第93章 重ねて※




「・・・っ」

ベッドの上に転がされたまでは良いとして、そこからが問題だった。

「どうした?」

・・・零が、何もしてこない。

「み、見ないで・・・」

服を脱がす訳でも、どこかに触れる訳でもない。
ただ静かに、横たわる私を優しい目で見つめてくるだけ。

それが妙に恥ずかしくて。
両手で顔を覆った。

「何もしていないだろ?」

・・・彼はどういうものでも武器にしてくる。

ズルい、と思ってしまうのはある意味の嫉妬だろうか。

「見て、る・・・っ」
「そんな無茶まで言うのか」

分かってる。
彼は何もしていないし、きっと私が言うまでしないつもりだ。

きっと今だって、余裕そうに笑みを浮かべて・・・。

「・・・僕はもう、とっくに限界を超えているんだが」

一瞬で変わった雰囲気に、思わず顔を覆っていた手をズラした。

そのまま彼に目を向けると、予想とは反した言葉通りの表情を浮かべていて。

ドクンっ、と心臓が大きく高鳴った。

「ひなたが良いと言うまで、僕は手を出せない」

それは警察官なりのけじめなのか、私に対する意地なのか。

でも、今までにそれに反したことはいくらでもあったように思うが。

「・・・ーっ・・・」

緊迫感のような焦りのような、彼の妙な感情が移ってくる。

どうせ、ここで我慢はできないんだ。
それは、お互いに。

だったらもう、なるようになってしまえ。

「・・・ん、っ・・・」

自暴自棄・・・そんな言葉が当てはまる。

勢いだけで彼に近付き、その唇を触れ合わせた。

彼が今、どんな表情をしているのか分からない。
私の瞼は固く閉じられているから。

でも、僅かに彼から動揺を感じた・・・気がした。
だからもっと動揺させたくて。

唇を触れさせたまま、彼の唇をペロッと小さく舐めた。

こんな事では大した動揺は期待できないが、彼が何もしないと言うのなら、それを私の武器にしよう。

扱えるかどうかは、別として。




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