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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第83章 戻ると




『僕の元へ来るのであれば、証人保護プログラムを受けずともお守りしますよ。少なくとも彼よりは』

望んでない。
彼以外のそういうものは。

「・・・っ、必要ありません・・・」

・・・忘れようとしたのに?
でもそれは以前のことで。

本当にそうだった?
忘れているだけで、今もそう思っているのでは?

忘れたことを、良かったと思っているんじゃ。
・・・いや。そんな事は無い、はずで。

信憑性の無い自問自答は一瞬の間に何度も繰り返され、息苦しさに拍車を掛けた。

『・・・君はもう少し・・・』
「!」

沖矢さんが何かを言いかけた時、部屋の外から近付いてくる足音が聞こえて。

彼に構わずバッジの通信を切ると、慌ててそれを枕の下へ突っ込んだ。

「失礼します」
「は、はい・・・っ」

それとほぼ同時にノック音と、男性の声が聞こえてきて。

てっきり足音の主は零だと思っていた。
返事をしながら、なるべく息を整えて。

でも声は彼のものではなかったと思っては、扉へと視線を向けた。

「風見さん・・・?」

開いたそこから顔を覗かせたのは、いつものスーツ姿の彼だった。

ついさっき、零と電話をしていたみたいだけど・・・病院には居たんだ。

「意識が戻られたと聞きましたので」

そう言いながら私の側まで来ると、置いてあった椅子へと腰を下ろした。

わざわざ、様子を見に来てくれた・・・だけでは無さそうで。

「すみません、ご迷惑ばかり・・・」
「いえ、それはこちらも同じです」

息苦しさが残る中、それを押し殺しながら風見さんに謝れば、彼もまた同じように言葉を返した。

「少し、お話をしたいのですが・・・よろしいでしょうか」

こちらに視線を向けていない。
その風見さんを見れば、彼の言う話が良いものでは無いということに察しがついた。

けれど、まさか。

「・・・貴女の、記憶について」
「!!」

その話なんて。

動揺を隠しきれなかった。
思わず肩を小さく震わせ、目を見開いた。

私のその様子を見た風見さんもまた、何かを確信したように、悲しそうな目をした。




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