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【安室夢】恋愛ミルクティー【名探偵コナン】

第83章 戻ると




「零・・・っ、零・・・!!」

痛い、熱い、苦しい。

目まぐるしく変わる感情に、何が何だか分からなくなって。

彼の声が聞きたい。
彼と、話がしたい。

そう強く思ってしまった時だった。


「ひなた・・・ッ!!」


聞こえるはずのない声が、聞こえたような気がして。

「安室さん・・・!?」

蹲るようにしていた顔を上げると、そこには不安そうな表情の彼がいて。

同時に、コナンくんの驚きながら名前を呼ぶ声も聞こえてきて。

「どうやって入ったの・・・!?」
「話は後だ・・・っ」

そう言って零の手が肩に触れて。

その感覚が妙に生々しいというのか、服の上からなのに肌へ直接触れているような感覚に陥った。

「とにかく、今は病院に向かう」
「・・・・・・」

病院・・・どうしてまた?

「君がひなたをここに置いた理由は、また改めて聞かせてもらうよ」

彼がそう言っている最中、体は突然宙に浮いて。

それに対してコナンくんは何も言い返さなかった。
正しくは、言い返せなかったのかもしれないけど。

「ここへ来た理由もだ、ひなた」

私の返事は最初から求められていない。
この聞き方は、拒否権なんてものが無いから。

「れ、・・・っ」
「今は喋るな。話は全て落ち着いてからだ」

・・・落ち着いた頃には、もう。

「ねえ」

玄関へ向かおうとする彼を、コナンくんが呼び止めて。

零は一度足を止めると、振り返らないままコナンくんの言葉の続きを待った。

「今は安室さん?・・・それとも」
「コナンくん」

落ち着いている。
けど、どこか重くも感じる声に、体の奥で何かが冷えた。

「・・・これ以上、こちらのことに首を突っ込まないことだ」

溢れる冷や汗が、頬を伝って流れ落ちて。

彼に抱えられている間も、体の熱量は増して苦しくなって。

それは・・・抱えられているのが彼だから、だろうか。




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