第2章 汁女子と悪魔
赤也Side
ドタドタ……!
俺の背後から突然大きな足音が聞こえてきた。
そしてそれは段々俺に近づいてきている。
…いつものことだ。
放課後、部活が始まる五分前に必ず奴は現れる。
「赤也くん!これ飲んで!」
三津谷梅。
同じクラスの天才女。
柳さんの知り合いの妹らしい。
青学の眼鏡の人みたいに俺に
いつも飲み物を渡してくる。
「ついに出来たのよ!『梅ェ茶』!
これで兄さんのあくと飯を超えれるわ!」
「……なんか色ヤバくね?」
「そんなことはいいのよ!早く飲んで!」
と、毎回毎回強引に俺に飲ませる。
「うぐっ」
「ほら!一気!一気!」
仕方ないので飲む…。
「どう?味はどう?」
キラキラした目でこっちを見る。
「普通にうめぇよ。」
そう、青学のメガネや柳さんが時々作るドリンクと
違い、コイツのドリンクはいつも普通にうまい。
のに。
「え……………。」
本人はそれが気に入らないらしい。
「そんな…今回は完璧だと思ったのに。
うまみより栄養を重視し過ぎるから
体がいきなりの栄養摂取に耐えきれず
あまりの苦痛に倒れることこそ最終形態だというのに………。」
言ってることはよく分かんねーけど
それって結局体に悪くねーの?
「うーん、赤也くんだからダメなのかも
しれない……。よしっ他の人に!」
…。
「柳さーーん!新作作ったから飲んでください!」
そう言って柳先輩の方にいく梅。
「お、また作ったのか。
何度やっても俺のシンジャエールには勝てんぞ。」
「勝つんで飲んでください!」
「待てよ!」
柳先輩に差し出すコップを強引に奪い飲む。
やっぱ普通にうめぇ。
「あー!なんで飲んだのよ!」
「こんな普通にうめぇ飲みモンが
柳先輩のシンジャエールに勝てるわけ無いじゃん。」
「赤也くんの味覚がおかしいだけかもでしょ!」
「……梅、赤也を倒せないようじゃ無理だぞ。
しばらくは赤也に試してもらえ。」
少しニヤニヤしながら柳先輩が言う。
この人…!
「えー…」
「赤也、感謝しろよ。」
「余計な…」
「余計なお世話ッスよ…とお前は言う。」
この人には全てお見通し……ってか。
「?」
俺って独占力高いな…。