第9章 初めての朝
善「そうそう!帯はもっとギュッと。…はい!タビ履いてね。
あとは頭巾をかぶって…よし、完成!!」
「はぁー、できた!!」
その後は留三郎に代わり、伊作が制服の着方を教えることになった。留三郎はその間、睨みをきかせてゆうきと友人の様子を見守っていた。
「よし、じゃあ食堂に行ってくるね。
伊作君、食満君、ありがとう!」
ゆうきは2人ににっこり笑って、足早に出て行った。
食(ちっ…何で俺にまで礼言うんだよ。さては事を大きくするとここに居られなくなるかもしれないから、なかったことにしたいって事だな?)
笑顔でゆうきを見送った伊作は、笑顔のまま留三郎の方を振り向いた。
善「さて、留。どういうことかな??^^」
食「伊作さん、その笑顔が怖いんですけど…」
善「何で泣かせたのか、聞かせてもらおうか^^」
食(エロい格好見せられてむしゃくしゃしてたとか、涙目で見られて更にいじめたくなったとか絶対言えね〜〜!!)
この後、留三郎は伊作からたっぷりお小言を貰ったのであった。
タタタタ…
「いけない、遅刻しちゃう…!」
これからここでの初めての仕事だというのに遅れてしまっては大変だ。
(食満君…最初は親切でいい人だと思ったのになぁ。私が何か怒らせるようなこと言っちゃったんだろうな…。)
また溢れそうになる涙を乱暴に拭うと、ゆうきは両手で自身の顔をパンッと軽く叩いた。
「さぁ!!初仕事頑張るぞ〜〜!!」