第2章 異世界に誘(いざな)われ
そ、そんな深く考えてなかった…ただ走るの苦手だし、荷物があったからたまたま目に付いた倉庫に入っただけだった。
少年は冷たい目を向けたまま、じりじりと距離を詰めてくる。ゆうきは必然的に奥の方へ追いやられた。格子を嵌めた窓から光が差し、少年の群青色の衣が目にとまる。
?「お前何者だ?」
「わ、私は臨寺ゆうきと申します…。あのっ、先程は、すみませ」「そんなことを聞いてるんじゃない!お前はどこの城のくノ一だ?学園長先生のお命を狙ったのだろう。誰に頼まれた。」
「え、何のことですか!?私は何も…!私だって訳がわからなくて!」
?「下手な言い訳だな。まぁ出来損ないくノ一ということは明らかだけどな。」
「本当です!私くノ一じゃありません!信じてください…。それにそういう貴方は…いえ、貴方達は一体…。」
?「…ここは忍術学園。知らずに忍び込んだわけじゃないだろ?そして私は鉢屋三郎という。」
少年はニヤッと笑い、驚くような速さで、ゆうきを壁に押し付けた。