幸運と悪魔を宿すグリモワールを持つ少年たちの妹ちゃん
第3章 貴族の家
私はふぅっと息を吐いた。私が馬車で数時間揺られて、やっと着いた結婚相手の家。しかし、それから数日が過ぎても、私はまだその相手にすら会えていないという状況だった。
「……早く帰って来いって言われたけど……これじゃあ無理そうだなぁ」
そう思いながら、背伸びをしていると、トントンっとドアをノックする音が。
「失礼致します」
現れたのは召使いの人。私は一日のほとんどを用意された部屋で過ごし、そして食事の時だけ呼び出されるのだ。私は億劫になつだいたが、しかし、この数日と違うことが起こった。それは召使いの人の後ろには、多くの人が控えている。
「ご準備を」
そして、私は何故か着せ替え人形のようにされるのだった。