第6章 リヴァイ★懺悔
──12月17日──
20時半すぎ、リヴァイは中野坂上の地下鉄から地上に上がり、マンションに向っていた。
今日はいくぶんか早く帰れたな。
冷たいビル風に背中を押される様に急ぎ足で歩いていると、少し遠目から自分に向かって手を振ってる女が見えた。
あれは………
「ノアか?」
「リヴァイ久しぶりー!用事で近くまできてたの。だからもしかしたら会えるかもと思ってこの辺うろついてたんだ。会えてラッキー、今から部屋行ってもいいでしょ?」
この女は黒崎乃愛。
リヴァイの元恋人の友人で、別れてからも連絡を取り合っていたらいつの間にかそういう仲になっていた。
簡単に言えばセフレだ。
乃愛は時々ひょっこりと現れては、やることだけやって翌日にはおとなしく帰る。
特に付き合ってくれなど言われたこともないため、お互いにお互いが都合のいい関係になっていた。
「あぁ。」
ぶっきらぼうに答えると、乃愛は笑顔でギュウっとリヴァイの腕に抱きつきマンションに向かった。
過去にもこんなことが何度かあったため、自然な流れでマンションまできてしまったが、玄関に鍵を入れようとした瞬間、真珠の存在を思い出した。
1羽の鳥とはいえ自分のことを慕ってくれている存在がいるのにもかかわらず、別の女を家に上げるのはどうなのか?
という思いと、たとえ言葉の壁をこえた関係であっても、リヴァイは人間だ。時には性欲を解消したい時もある。いたしかたない。
そんな2通りの意見が脳内で暴れだしてしまった。
「ん?リヴァイ?どうしたの?寒いよ。早く中に入ろう?」
乃愛の言葉でハッと我に返る。
ここまで来てしまったら追い返すわけにもいかない。
「おい、言い忘れてたが、明日は仕事で朝が早い。やることやったら帰れよ。いいな?」
とりあえずもっともらしい理由で泊めるのは阻止する。
「えー?泊めてくれないの?まぁいいや…わかったよ。」
「それと、玄関あけたら黙ってすぐに寝室にいけ。わかったな?」
「えー?1杯飲んでからにしようよ。そのくらいは時間あるでしょ?」
「今日はそこまで時間はねぇ。」
「リヴァイのケチー。わかったよ。」
玄関をあけると、乃愛を寝室までおしやった。
そして、真珠のいるカゴに布をかけ、リビングの電気を消すとリヴァイも寝室までむかった。