第5章 リヴァイ★疑惑
──12月10日──
この日はエルヴィンと外での仕事が何件か続き、全ての業務が終わったのが、21時をすぎていた。
「どうだ、リヴァイ。遅くなったし、何か食べてくか?」
「そうだな…場所は任せる。」
しばらく歩くと、とある飲食店に到着した。
まぁ、場所など聞かなくてもここに来るだろうと思った。リヴァイは慣れた手付きで入り口をあける。
「イラッシャーイ!ットオモッタラエルヴィンニリヴァーイジャナイデスカ!」
「サイモン、ひと月ぶりか?今日はクタクタだ。何か適当に頼む。」
「オーウ。オツカレネ。ウントセイノツクモノダスカラネ。チョウドザシキアイタカラスワッテマッテテネー。」
ちょうどあいたも何も、客一人もいねぇじゃねぇかよ。
リヴァイは心の中でつっこむと、外がよく見える小上りに座った。
先に出されたビールを飲みながら待つこと数分。
つまみとサイモンチョイスのロシア寿司がでてきた。
サイモンの寿司は色も見た目も奇抜だが、味は悪くない。
エルヴィンとリヴァイは夕飯を食べていく時はだいたいここにくるくらいの常連っぷりだった。
「サイモンセット、オマタセネー。トコロデ、フタリハマダイッショニスンデナイノデスカ?」
リヴァイの箸がピタリと止まる。
「あぁ?サイモンなんの冗談だ?」
「フタリイツモナカヨクイッショネ。コイビトドウシデショ?ケッコンシキノパーティーハゼヒココデヤッテヨネー。」
「ハハハ、サイモン、実はリヴァイが素直にイエスと言ってくれなくてね。私も困ってたんだよ。」
エルヴィンが悪のりをし始めてしまった。
「おい、エルヴィン。気色悪い冗談はよせ。サイモン、何度も言ってるが、コイツは職場が一緒なだけだ。変な勘違いはやめてくれ。」
サイモンとは店に来るたびにこんなやりとりを繰り返している。
リヴァイもいい加減にうんざりといった感じだ。
「オーウ、ソウダッタネ。フタリイツモイッショダカラコイビトミタイニミエルンダヨネ。ハハハー、ゴユックリー。」
「ったく、冗談が笑えねぇんだよ…」
「ハハッ、まぁそう言うなリヴァイ。ただのロシアンジョークだよ。」
「あいにく俺はドイツ出身だ。ロシアンジョークなど通じねぇよ。」
リヴァイはイライラしながらビールを飲み干した。