第4章 リヴァイ★以心伝心
──12月1日──
リヴァイは今朝もいつもとかわらぬルーティーンで、朝の準備をしていた。
師走に入ると、年末までに何とかしてほしいと、無茶な依頼が結構な確率で入る。
慌ただしくなるが、成功報酬も割増にできるので、ぶっちゃけ稼ぎどきだ。
いつ急な依頼が入ってもいいように、今日から仕事は全て前倒しでこなしていく。
少し早めにオフィスに向かおうとすると、急に真珠が騒がしくなった。
出ていこうとするリヴァイに対して、甲高い声で鳴き、引き留めようとしているようだ。
今までこんな鳴き声を出したことがなかったので、リヴァイは戸惑ったが、飼育本に書いてあった「呼び鳴き」というキーワードを思い出した。
オカメインコは寂しかったり、要求がある時に、時として甲高い声で鳴いて騒ぐことがある。
今は本を開いて調べる時間などないが、確かそんな内容だった気がする。
そう考えるとすると、真珠はリヴァイに出かけて欲しくない気分なのだろうか。
だが今日は午後からクライアントとの面談も入っていて、自宅でできる仕事ばかりではない。
そんな風に頭を悩ませてる間にも真珠はけたたましく鳴いている。
いったいどうしてしまったのか……
ペット可のマンションとはいえこのまま放置して出勤するのも気が引ける。
リヴァイは仕方なく真珠に問いかけた。
「真珠、静かにできるのならオフィスまで連れて行ってやるが、どうする?」
その言葉を聞いた瞬間、真珠はピタリと鳴きなんだ。
「一緒にいれるのは昼までだ。その後は夕方までエルヴィンと一緒だが文句はねぇな?」
それでも黙っている。
沈黙は肯定と判断でいいだろう。
リヴァイは支度を終わらすと、鳥かごを持って地下の駐車場までエレベーターで降りていった。
いつもは地下鉄でオフィスまで行くが、さすがに朝の混み合う時間にこの荷物は無理だ。
だからといって1日狭いキャリーも可愛そうなので、リヴァイは車で行くことにした。
平日の山手通りは渋滞すると厄介だ。
リヴァイは愛車の黒いハリアーの助手席に真珠を乗せるとしっかりシートベルトで固定した。
そしてエルヴィンにLINEを送る。
「車でいく、山手通りが渋滞してたら遅れるからよろしく頼む。」
すぐに既読になり、気色の悪いスタンプが返ってきた。