第37章 雨@黄瀬@
喋りながら昇降口まで戻ってきた
「いやー、ユウっちいないかなーって見てたら
居て!
困ってそうだなーって見てたんス。」
「……何でそれが、私のピンチになるの?」
大したピンチじゃないよね?
そう思って質問すると
涼太くんは傘を開きながら口を尖らせて
「……ユウっちが、他の人と
こうやって
相合傘するのは嫌っス…。
ユウっちは気づいてないっスけど、
ユウっちが雨の量を確認してるとき、声かけようか迷ってちらちら見てる男子がいたんスからね!」
右手で傘を持ち、左手で私の手を握ると
傘の中に引き込まれた
…そんな事考えて、焦って走ってきてたの?…
「嬉しいよ。こんな風に相合傘するのも
恥ずかしいけど、涼太くんとひっついていられるし。」
正直に言うと、涼太くんの顔がまた少し赤くなる
「…照れてるの?かーわいー!」
……………あ
やってしまった
「女にかわいいって言われて、
嬉しい男はいないっスよ…。
かわいいなんて、言わせないっス。」
狭い傘の中に
逃げ場はない