第33章 渡したくない@黄瀬@
唇を離すと
荒くなったユウの息遣いが教室内にこだまする
「……ずっと、こうしたかったんス。
ずっと、ずっと好きだったのに!
簡単に、他の男に
渡したくない!!
渡せるもんか!!」
出そうになる涙を堪えて言った
もう二度と
ユウに触れられない
こんな気持ち悪い兄貴と一緒にいるなんて
嫌に決まってる
「ホントごめん…。
でも、もう最後だから…。」
一番言いたかった
次の言葉を言うことはできなかった
俺と同じようにユウが
俺の唇を塞いだから
「…あのね、お兄ちゃん。
こんなに優しくて、私を大事にしてくれて、かっこよくて、一途でかわいい人が、近くにいるのに。
他の人のところに、行けるわけないでしょ?」
授業を知らせるチャイムが鳴る
「一途なかわいい人」って、
俺の気持ちは前からばれてたっぽいっスけど
終わりよければ全てよし
っていうことわざ、あった気がするっス