第3章 人間観察
彼女の不満 side凍叶
凍叶は不満だった。というのも今現在一番の観察対象の凍季也がこのところ酷くぼうっとしていて彼女に対する反応が上の空だからである。彼女がどうしたのだと問いかけても別に何も、という応えが返ってくるばかりで、全く面白い反応を返してくれない。別にただ上の空なだけなら彼女もいつものことと笑い飛ばしただろうが、彼女には最近の凍季也の"上の空"はいつもの憂いを帯びたそれとは違っているような気がしてならなかったのだ。言葉にするには微妙すぎるそれを敢えて言葉にして例えるなら__まるで、生まれて初めて好きな人ができたみたいな。
凍叶は自分で考えた例えに苛立ち、次の移動教室に向かう足を速めた。
(そうだ、今度の休みは遊園地に行こう。白いワンピース着てお洒落して__いつか、まだ彼の人が生きてた頃みたいに、まだみんな笑ってたあの時みたいに。)
それぞれの過去を胸に、二人の運命は交錯する。
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はい、めっちゃ短い上全く本編に入る気配がありませんね。もうちょっと待っててください、多分もうすぐミラーハウスの凍季也対烈火に入るので。