第4章 銀魂短編・SS
日直の報酬 (高杉視点)
今まではどうにも思わなかったのに、気がつくと目で追っていた。
きっかけは思い出せない。
多分どうだっていいに違いねェ。
だが、どうすれば振り向かせられるのかなんて女々しいことを
考え始めたてめェには、我ながら笑わせてくれる。
手紙かなんかで放課後に呼び出すか?
まどろっこしいことはしねェでどこか引きずりこんじまうか?
…ふと、目に入ったのは黒板の横に書かれた日直の文字。
あァ、こいつァいいや。
名前に声をかける。
実際呼んだ名は苗字の方だがいずれ呼ぶんだ。大差あるめェ。
当然の反応ながら驚いた表情で受け答えしやがる。
驚くのはまだ早ェってのになァ。
ククッ…と、笑いそうになるのを堪えながら
極めて自然に日直を交代して欲しいと頼む。
困ったような笑顔で許諾したのを確認すると、
用は済んだとばかりにそのまま家へ帰った。
学校は二日休んだが、意味はない。
本来割り当てられた交代した日に、
あいつがどんな様子で日直の仕事をこなしているのかは
興味をそそられるが、それはそれ。
交代した日直の日、俺は珍しくも早く学校に着く。
予想はしていたが、こうも注目されるたァ、やりづらくっていけねェなァ。
見世物でも見るかのような奇異な目に混じって、あいつの視線も感じる。
たァっぷりお返しに見つめ返しちゃァみたが、
ソワソワするばかりでコッチの目を見ようとしねェ。
日誌はそれっぽく書いて教卓に置く。
放課後、他の生徒が出はからったのを見かねて好機とばかりに話かける。
相変わらず驚いた反応をする名前に話を畳み掛けた。
…ククッ、いい表情してるぜ。
差し出された手を握り返し僅かな間の握手を交わす。
呼び捨てに抵抗があるようだが、そんなもンは時間の問題だ。