第1章 依頼にて
頭からは血が流れ顔には擦り傷や火傷があった。
念糸を使い少し遠くの木に着地した。ここはちょっとした広場なのか芝生がある。
念糸の操作中に打ち付けたのかあざが痛々しい。
自分の頭上に怪しく光る薄オレンジ色の火の玉が集まっていく。それに諦めの溜息を吐きスマホを手に取り操作して耳に当てる。誰かに電話をかけているようだ。
「もしも」
電話の相手はすごく怒っているようだ。
恵理香の言葉も聞かず説教する少年に言葉を放った。
「ごめん。ウチ帰れなくなったからあとはよろー」
「ちょっと恵理香さん、どう言うことですか、恵理香さん?」
自分を呼ぶ声に自嘲気味に笑みを浮かべ電話を切った。
恵理香は薄オレンジ色の巨大な玉を瞳に焼き付けて歯をくいしばる。