第1章 きっかけは金平糖?!
「おっと、何だ何だ?昼餉の準備に厨の方に来てみれば…やけに賑やかだな」
「追いかけっこ…でしょうか?秀吉様は早歩きの様にも見えますが」
「あの二人が厨から出てきたところを見ると御館様が甘味を盗み食いしていた所を秀吉に見つかったのだろう。いつものことだ」
「…いい加減諦めれば良いのに。うるさすぎて読書も出来ない」
「くくっ騒がしいのはあの女がここに来てからは日常だろう?」
「確かにそうですね…あの子、今日も思いっきり廊下でこけて擦り傷作ってたし、植木の棘で指切ってるし…面倒くさいけど、また傷薬を作っとかなきゃいけないので、俺はこれで」
「はっ!面倒とか言いながら、家康のやつ早足じゃねえか。じゃ、俺も昼餉を作るついでにあいつの好物でも作ってやるか」
「では、私も書庫に戻りますね。あのお方が喜びそうな本をいくつか纏めておきたいので」
「昼餉にはちゃんと来いよ、三成」
「はい、遅れないように気を付けておきます」
「あ、光秀さんに政宗。ねぇねぇ、さっきすごい勢いで信長様と秀吉さんが追いかけっこしてたけど、何かあったの?」
「噂をすれば何とやら、だな。皆の口からお前の名が出るところを見ると、この騒ぎ、お前のせいかもしれないな」
「えっ?!わっ私のせいですか?!何も心当たりありませんが…どうしよう…」