第11章 ◎裏切り
「へぇ……いい感じの部屋じゃん」
雅紀が帰ったあと裕典が仕事帰りに来て
上着をソファーに置いた。
「…そう、でしょ?」
「……?……どうした?なんかあった?」
「え?ううん。なんにもない」
どうしても雅紀の言葉が気になって、
不自然な対応をしてしまった。
「それよりね、プロポーズの返事
そろそろしようかと思って……」
そう言うと裕典は急に立ち上がって、
「そ、れね。
まだいいよ。考えな?大切なことだし」
「え?でも……」
話しの途中で裕典はネクタイを外して、
お風呂場に向かった。
「俺お風呂入るわ。沸いてる?」
「う、うん」
私も不自然な態度だったけど、
裕典はなんだかいつもと違う感じがする。