第7章 ◎異変
なんでそんなに悲しい顔をするの?
そんな顔でそんなこと言われたら…
「…………裕典のとこ、行かないと」
そう言った瞬間、
雅紀が私の腕を強く引っ張って、
いつの間にか私の上には雅紀がいて、
どうやら私はベッドに倒れたらしい。
この状況を人は何と言うんだっけ?
あ、襲われる。とか?
「アイツのとこ……」
「え?」
まだ熱があるのか少し荒っぽい雅紀の息
それが余計に心臓をドキドキさせる。
「アイツのとこ……行かないでよ」
完全にぶち抜かれた。
なにかがプツンと切れる音がして、
きっとこれを人は'理性が吹っ飛んだ'
そうとでもいうのだろうか。
雅紀の顔が私に近づいてきて、
もうこれは逃げる余地もなくて、
私は思わず身構えた。