第7章 ◎異変
運転中、雅紀は何も話さなくて
私が話しても'うん'だけだった。
どうしたんだろう。って思いながらも
車から降りる雅紀を見送った。
「雅紀、じゃあね?」
そう言ってもやっぱり'うん'だけ
なんかフラフラしてるし、
裕典が熱だって言ってたもんね……
ていうか驚いたよ。
雅紀があの病院で裕典に診察されてて、
心臓がバクバクしてた。
「あ、雅紀!」
ガチャっ
その時、車から雅紀のことを見てると
雅紀が外でうずくまってるのを目にした。
すぐに車から降りて雅紀に近づき、
オデコに手を当ててみた。
「熱……下がってなかったの?
点滴したんでしょ?もっかい病院行く?」
「ヤブ医者じゃん……」
「え?」
小さな声で雅紀がそう言った。
ヤブ医者って……裕典のこと?
「アイツと……結婚、すんの?」
「な、なに急に……とりあえず中に」
なんて手を引っ張る私を力強く引いて、
雅紀はまた小さい声で掠れるように、
「イヤだよ……」
そう言った。