第18章 ◎噂にはご用心
「そ、の…………噂、が気になって……」
「噂…………あぁ、記事とかの?」
「そ、れとか……皆が話してるのと、か」
持ってるコップを少し強く握りしめて、
そう言うと二宮さんは少し笑って、
「あなたが選んだんでしょ?」
「え?」
「ストレートに言っちゃうとこうよ?
ただそれが現実じゃない?
あの婚約者と付き合ってたら、そんな心配…」
「それは……イヤ、です……」
裕典と雅紀なんて比べることもできない。
そうすぐ言えたのはきっと私が、
本当に雅紀のことを好きだっていうこと。
「じゃあいいじゃないの。
俺はね?そういう記事は見ないようにしてんの
見るなら辞めろって話よ?この業界をさ……」
「や、辞める……」
「何にしても選択があるわけよ
付き物なのですよ、きっとね」
きっとそれくらいの気持ちで、
それぐらいの覚悟で付き合えってことだよね
そう言いたいんだよね。
「噂にはご用心を、ですよ?」
「は、い」
「ん、じゃあ俺は帰りますよ。
たぶん相葉さん帰ってくるので、鍵閉めててね」
「ありがとう、ご、ざいます」