第15章 ◎ワガママ
大きなマンションの最上階
そこはお城の塔みたいで、
きっと私は今、王子様を待ってる。
来なかったらずっとこのままだから。
「まーくん……まーくん……」
「え……!?」
「あ、まーくん……ヒック……だ」
目の前にはボヤけるけどまーくんがいる。
手を伸ばせば抱きしめてくれるかな。
今日くらいしてもいいかな?
そんなことを思いながら、
ゆっくり遠慮がちなその両腕を伸ばした。
「…?よ、酔ってるの?」
「うんん?酔ってないよ。ギューして?」
やっと言えた。
そっか。こんな顔するんだ、まーくん
こんな頬っぺたを真っ赤にしちゃうんだ。
「まーくん、ギュー」
そしたら優しく抱きしめてくれた。
これが私の欲しかったものだったんだ。
この温もりが欲しかったから、
涙が出てるんだ。
「………………まーくん、好き」