第32章 口の悪さもそっくりだな。
「何…この記事…」
今朝の新聞の見出しを見てエリナは驚愕していた。
【ついに押さえた初スキャンダル!BIGカップル誕生⁉慈しみの魔女、最悪の世代ルーキー、トラファルガー・ローと新世界植物園熱愛デート⁉】
でかでかと載せられた一面。
「そういえば植物園連れてったっけな」
エリナは少し前の記憶を思い出す。
熱愛デートって…
そこには私がローを半ば強引に連れて行った植物園での様子、それから半ば無理やり入ったパンケーキ屋での食事の写真が堂々と掲載されていて、いつの間に撮られていたのかと恐怖さえ感じる。
ただ一つ気に入らない文があった。
「色男トラファルガーの標的、慈しみの魔女でさえ抗えず?」
「次に泣き寝入る女は二億円の首」
なんじゃこれは⁉
ここの部分を読み返すだけで腹が立つ。
捨てられるの前提かい!
悪趣味な予想しやがって。
そもそも一緒にいるも何も、同じクルーなんですけど。
記事の一部にはこれまでの色男ローの女遊びのその派手さや豪遊っぷりが晒されていた。
「…………中々悪い男だ」
エリナでさえその内容には同情する。
こんな恋沙汰で記事が出るのは初めてだった。
だが見なかった事にしよう。
丸めた新聞を乱暴に投げ捨てた。