第31章 だって本当のお願いごとなんて心に秘めておくものでしょ?
「あれ⁉エリナチャイナドレスは⁉」
甲板で釣りの続きをしていたシャチは平服に戻ったエリナを見ては信じられないとでも言うような顔で青ざめた。
「解けたわよ、残念ね」
舌をちろっと出して悪戯に微笑む。
「え〜〜!そんなー!!」
赤子のように喚くシャチをスルーしてエリナは持ってきた竿を広げ釣りに加わる。
「あれ?ベポは?…寝てんのか」
シャチと一緒に釣りをしていたベポは日向で気持ち良さそうに昼寝をしていた。
「ふふ…ベポよだれ垂らしてる」
その光景を微笑ましく見ていたら、たったさっき聞かれたような質問がまた背中で聞こえた。
「あっ!エリナ俺のチャイナドレスは⁉…もしかして…」
ぐるりと顔を向けるとそこにも残念そうに肩を落とすペンギンが立ちすくんでいた。
「俺のって何よ。そんなに良かった?じゃあ次島で買ってこようかな」
「やめろ」
「うわっ、いつから居たのよ」
低く澄む声が耳に入ってきて。
いつの間にかそこにいたローが短く制止を入れてきた。
眉間には皺を飾ってる。
「冗談よ」
むすっと膨れて波の無い穏やかな海面を見つめた。
「中々良かったのにな…」
「ああ…俺の夢…」
「一度脱がせときゃ良かった」
「あ、キャプテンロマンっすそれ」
「だから脱げなかったっちゅーの!」
「じゃあそのままやっちまえば…」
「黙れお前ら」
エリナの奥義、スーパー鉄拳がお披露目された。