イケメン戦国~天下人の妹になる気はないか~ 番外編
第2章 大人になった君
(...誰だ?この女は?)
どことなく雪月の面影はあるものの、その顔は幼子ではなく大人の女性のもの。肩ぐらいまでしかなかった筈のふわふわで真っ白な髪は腰まである。両手で掴んでも余る位に細い腰からは真っ白でふわふわでありながら、その身体の半分もあろうかという程の大きな狐の尻尾が生えている。しっかり抱き締めていた筈の小さな身体も大きくなり、女性特有の柔らかさもある。
(...ちょっと待て。俺は昨夜雪月と寝たよな?雪月以外の女と一夜を共にしてないよな?あれ?俺いつの間に女抱いてた?昨夜の晩酌そこまで度数高いの飲んでたか俺?雪月そっくりの女連れてきて狐耳と尻尾つけて楽しんでたのか俺?つーか雪月何処行った?!)
パニクってキャラが行方不明になる信長。
「...ん、」
ふいに、雪月(仮)が身動ぎしたかと思うと、ゆっくりと目が開かれた。瞳の色は色素の薄い水色。
固まる信長を他所に、雪月(仮)は、
「ふやぁ~...おはよ、兄様」
欠伸からのふにゃふにゃ笑顔。極めつけはぎゅー。
信長は危うく思考停止しかけたが、
(...ん?『にいさま』?)
「貴様...雪月か?」
「?兄様、どうしたの?」
元から雪月は可愛らしい声の持ち主だったが、目の前の雪月(仮)は更に可愛らしい、まさに鈴を転がすような声をしている。
更に、舌ったらずな発音が抜けている。
(...これは)
思考回路はショート寸前の頭で出した信長の答えは、
「...雪月、もう少し寝るぞ」
「?はい」
現実逃避と言う名の二度寝だった。
その後、軍義の場に現れない信長と雪月を迎えにきた秀吉の絶叫により、信長は現実に直面するのだった。