第1章 お伽噺のように結ばれたい
調査兵団入団初日。
唯一の兵団入団者として、調査兵団の兵士にさえある意味変わり者のような目でみられている。
ナナバ班長に兵舎内を案内されながらユリアは羞恥心と、未だに受け入れられぬ事実に目眩がしていた。
「ここが食堂。中を見てみる?」
「……いえ、大丈夫です」
「はは、じゃあ次に行こうか」
調査兵団……?冗談じゃない……!自分は内地に行く為だけにこの三年間を必死にやり抜いてきた。命を捨てる為にこんなに死に物狂いでやってきた訳じゃない……!!
ユリアは兵団選択日の自分を恨んだ。団長が超絶どストライクのイケメンだとしても、流石に命までは預けられない。ユリアは勝手に涙腺が緩んでくる。
「最後、ここが団長……ユリア?え、何、どうしたの!?」
「す、みませ……何か……すみません」
ナナバが背中を摩ってくれていると、ユリアの耳元で「スンスン」と聞こえ、驚いて振り返ればかなり長身の男が曲げていた背を伸ばしてユリアを見下ろした。
「ああ、ミケ、お疲れ」
「ん。……どうした?」
彼がミケ・ザカリアス分隊長?ってか、今やっていたことには何の反応も無し?とユリアがぽかんと見上げ、怖くなりまた涙が溢れた。
その姿にミケとナナバはアタフタしていれば、騒がしいぞと団長室からエルヴィンが顔を覗かせた。
皆で団長室に入り宥められ、ユリアにと兵士長のリヴァイが紅茶を出てきたのだが、泣き顔を見て「クソみてぇな面してやがるが、足でまといになる前に自分でもう一度よく考えろ」と言ってきた。そしてまた泣いた。