第5章 色褪せない想い
美緒には何も言わない事にして、黄瀬くんには仕事の時にプライベートな話題は絶対出さないように釘を刺した
急にどうしたのか聞かれたから、スタッフの中にも黄瀬くんと近づきたい人はいて万が一美緒のことが知れて何かあったら黄瀬君もイヤでしょって言うと分かってくれた
「お前、近々アメリカの予定あるか?」
「んー、近々じゃないけど8月終わりからニューヨーク。コレクションだから1週間まるっと仕事だけど、親にもセルジオにも会いたいしパットからも仕事の誘いあるから10月まではいるかな。それにここ逃すと最悪年明けまでまともに休めなさそう」
「なんか青峰のタキシードのクリーニングが遅れてるらしくてよ…もしアメリカに来る予定があるならついでに持ってきて欲しいらしいぜ」
「9月になっちゃうから1ヶ月以上先だけどいいの?」
「赤司からタキシード貰ったみてーだから大丈夫じゃねーの?聞いてみる」
やっぱ青峰さんもそろそろアメリカに戻るんだ
ご馳走してもらったお返しもできなかった…
「つーかお前毎年そんな忙しいのか?」
「まぁね。コレクションは今年初めてだけどいつも9.10は休暇取りつつアメリカで仕事してるし戻ったらニューイヤーの案件の打ち合わせとか撮影あるし、アメリカで呼ばれればそっちも行くし休みは機内って感じ。もちろん断ることもできるけど忙しくできるうちが華なの」
メイクはあたしの生きがい
メイクがなかったらあたしは自分の存在価値が分からない
「あー…お前さ、もし俺がメイク頼んだらできるか?」
「スケジュール合えば」
「今度頼んでいいか?」
「うん!なにか撮影決まってるの?」
「いや、まだ正式じゃねんだけどさ…」
言いにくそうにしてるから何かと思ったら制汗剤の広告なんだけど上半身は着ないで撮ることになってるみたい。
「あ、ボディアートが嫌なんでしょ」
どんなに鍛えてる人を使っても広告やCMでは裸の時は体もメイクする
それが嫌で1度は断ったけど相手側が再度オファーをしてきていて断れなさそうということだった。
今試しにやってみるか聞いたら心底嫌そうな顔をされた
大我はあたしの前でもよく上半身裸の時があるから筋肉の付きとかだいたい分かる。
そんなに塗りたくらなくても良さそうだけど…肌がちょっと白いなー
なんて考えてたら大我のスマホが鳴った