第10章 wherever you are
side青峰
握って寝たはずの手が離されてみさきがベッドから出る気配を感じて目が覚めた。
あれほど人と寝るのが嫌いだった俺がみさきがいる方がよく眠れる
寝室に戻ったみさきをベッドに引きずり込んで抱きしめると、ぴったり沿った体から体温が伝わってきた。
みさきは眠たがってたけど、昨日の寝言の相手のことが気になって、好きな奴がどんなやつなのか知りたくて聞くと「優しい」なんてありきたりすぎる答えが返ってきた。
俺は優しいなんて言われたことは一度もねぇから俺とは全然タイプが違うんだと思った。
優しいってよく分かんねぇけど、全部好きだってみさきに言わせる見たこともねぇ相手に嫉妬心だけはしっかり湧いた。
俺の質問と同じ質問をしてくる鈍感すぎるみさきに、俺も全部好きだって答えたら「すっごく気になる」とか言って他人事みてぇに笑ってる。
いや、お前だよ…
努力家で誤魔化すのが下手で信じられねぇ程鈍感だけど、すげぇ可愛くていつもいい匂いで仕事に一生懸命なお前にめちゃくちゃ惚れてる。
「うまくいくように応援してる」とか言いながら目を閉じられたけど、応援するんじゃなくて俺の女になってくれればそれで解決する。
なんの問題もなく万事解決
黄瀬の話じゃみさきは全然男っ気がなくて俳優に飯に誘われても全部断って連絡先すら一切教えなくて、みさきのガードの硬さは鉄壁だとか言ってた。
不愛想って訳じゃねぇけど、仕事中は無駄話もしねぇし笑ったりすることもほとんどしないらしい。
多分俺も仕事で知り合ってりゃそんな扱いだっただろうな…
プライベートで知り合えたってだけでもアドバンテージなのに、一切振り向いてもらえない俺ってマジで何なんだよ。
二度目の眠りに落ちたみさきをベッドに残して着替えたはいいけど、すぐにみさきのところに戻りたくなって、ベッドに座って頭を撫でたり髪をいじったり頬を触ったりしてた。
すげぇ綺麗。
手入れされた白い肌、閉じられた大きな目を縁取る長いまつげ、高い鼻、色っぽい唇。
やっぱ昨日避けずにキスしときゃよかったか。
いや、それはマズいよな…二度と会ってもらえなくなる。
それに俺が何もしねぇって約束を反故にしたら、みさきは今好きなヤツのことすら好きじゃなくなるんじゃねぇかって感じて、昨日咄嗟に避けた俺の反射神経はいい仕事をしたと思った。
