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最愛 【黒子のバスケ】

第10章 near &far


「青峰君お風呂先どうぞ」

「俺はプールの方で済ませてきたから、お前入ってこい」

「そうだったんだ。なんかいい匂いすると思った」

プールから戻った後にぎゅっとしてもらった時にいい匂いするなって思ってたらそういうことだったんだ。

このお部屋のお風呂は360度ガラス張りでどこを見てもマンハッタンの夜景が見えるからすっごく楽しみだったしいつもよりゆっくり入りたいと思ってた。

「いい匂いって(笑)いつもと同じだろ」

うん。いつもいい匂いだよって言いたいけどそんなこと言ったら変態だと思われるから言わない。
でも人は本能的に相手の匂いで好き嫌いを見分けるらしいから青峰君をいい匂いって感じるのは自分でも納得できる。
「いつもはそんなにシャンプーの匂いしないもん」って誤魔化してバスルームに逃げ込んだ。

部屋を隔ててる窓ガラスのブラインドだけを降ろしてお風呂に入るとすごく綺麗だったから電気を付けておくのがもったいなくて電気を消して湯船に浸かりながら大好きな夜景を堪能する。

あー幸せ。
あと5人は入れそうなバスタブにあたしの寝室と同じくらいのバスルーム。

持ってきてもらった青いバラの花びらを湯船に浮かべると温められた花びらから天然のローズの香りがしてまさに至福の時

青いバラはかつて作ることが不可能といわれていた幻の花。
花言葉は“不可能・あり得ない”だった。
でも今は“奇跡・夢かなう・神の祝福”に変わった。

青峰君に会うまであたしが誰かを好きになるなんて有り得なかったし男の人を好きになるなんて不可能だと思ってた。

でも驚くようなきっかけで突然恋に落ちた。どっちかって言えば突き落とされたと思ってる。

大我には「お前が誰かを好きになるなんて奇跡だな」って言われた。
確かにそうなのかもしれない。
あたしが誰かを好きだって思ったこと自体がすでに奇跡で、恋愛をさせてもらったこと自体が神の祝福なのかもしれない。

そう思ったらこのバラって青峰君みたいだなって思った。
夢かなうはあんまり当てはまるところがないけど、他は大体当てはまってるもんね。

湯船に浮かぶ青いバラを手ですくって遊んで香りを堪能して…

いつもは出る直前にもシャワーを浴びるけど今日は浴びずに出ることにした。
せっかくのバラのエキスを流したくない。
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