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最愛 【黒子のバスケ】

第10章 near &far


しばらく黙った後、明らかに焦った反応で聞き返された。

「だから…俺はお前の顔が綺麗だっつってんの」

こっちが恥ずかしくなるから聞き返すなよ!って思ったけど伝わらなきゃ意味ねーと思って同じことを繰り返した。

「え……でもね、あのね、あたしの顔のパーツのバランスは黄金比から外れてて、眉と目は近いしね、鼻はもう少し低い方がいいし、下唇は今の4分の3だと…」

「あははは!お前面白すぎだ!」

顔のバランスなんてどうでもいいのにペラペラと捲し立てて、焦るとペラペラ喋るみさきの癖を知ってるから可愛くてたまんねぇ。

「もう!からかわないで!」

ちょっとだけ怒ったように不貞腐れたように言うみさきの顔が脳裏に浮かんで、NYでみさきの目を見つめたときも同じ反応してたことを思い出した。
顔を真っ赤にして目うるうるさせて恥ずかしがってんのがすっげぇ可愛かった。

電話越しでも可愛すぎだ。
こんな反応されたらいじめたくなる。
でも今はいじめてんじゃなくて、本心を言ってるだけだ

「からかってねぇよ。本気でそう思ってる。バランスとかじゃねーの」

「ん゛ー…やだっ!もう言っちゃダメ」

「なんでだよ」

「…だって…そんな事言われたことないから…」

聞いてなかっただけだろ。
それかお得意の鈍感攻撃だな。
さつきから聞いた話じゃ、あいつんとこの会社でみさきを狙ってるヤツもいるらしいし、黄瀬もみさきの鈍さはヤバいっつってた。人に鋭く自分に鈍い…らしい。

お笑い芸人が収録の後に連絡先聞いたら、誰が聞いてもプライベートの方だったのに、名刺を渡したとか……アホすぎだ(笑)

「なら俺から初めて言われたってことでいいだろ?お前は綺麗だ」

「……青峰君も……いよ」

「ん??悪りぃ。聞こえなかった」

ごにょごにょしてんのとすっげぇ声が小いせぇから全然聞こえなかった。

「やだ、もう言わない」

「マジで聞こえなかったからもっかい言えって」

「だからね、あのね……あたしね…………青峰君がバスケしてる時、かっこいいって思うって言ったの!」ブチッ


ツーツーツー…

切れた。
多分切られた。

つーかあいつ切るなよ。
いや、切られてよかったか?

すっげぇ照れるしニヤける。
バスケの時限定かよ…でも、みさきがかっこいいって思ってくれんなら何でもいいわ

マジで天使かよ
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