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最愛 【黒子のバスケ】

第10章 near &far


side青峰

前から過去に何かあったことは察しがついてたし、それが男関係だってこともだいたい分かってた。
だから、もし付き合えてもすぐにそういうことはできないって漠然と感じてた。
それに、みさきの事はマジで大事にしてぇって思ってるから、すぐに手を出そうなんて思ってなかった。

やっぱりあの時言ってた“怖いこと”っつーのはそういう意味だった。

あくまで俺の想像でしかねぇけど、多分みさきは自分の意思に反して男に……

それがトラウマになって、この歳まで誰も好きになれなかったのかも知れねぇ。
何とも言えない苦い感情が広がって、どんな奴かも知らねぇし、顔も分からねぇけどそいつのことを殺してやりたいと思った。


「ならやっぱ俺はヘタレの幼馴染でいいわ」

いつもの火神に戻って、なんか笑ってやがるから念は押した。

「後悔すんなよ」

「しねーよ。でもみさきの飯は俺も食う」

「はぁ!?俺の女になったらダメに決まってんだろ!馬鹿かお前」

「お前の女になったらだろ!?まだまだ先だ。それに掻っ攫われちまったらお前はただの友達だろ?俺は幼馴染だからいつでもみさきの飯を食う」

「フザケンナ!掻っ攫われたって奪い返すっつってんだろ!俺は欲しいもんは絶対ぇ諦めねぇって決めてんだよ」

日本だったらこんなこっぱずかしいこと大声で言えねぇけど、こっちじゃ日本語を理解できる奴なんて多分ここにはいねぇから、2人でガキみてぇな言い合いをしてた。


こっちに来てから言葉もあんま通じなくて、何かと世話になってきた火神とは、知らねぇうちにいろんなことを話してなんだかんだ言いながらも仲は悪くねぇ。

それに、火神に幼馴染がいるってことは結構前から知ってた。
シカゴでバスケするってなって、帰んのがめんどくせぇから泊めろっつったら、幼馴染が来てるからダメだとか言われたことがあった。

まさか会った瞬間そいつに惚れるなんて思ってもいなかったけどな。


NYにみさきが来てる間に直接チケットを渡せたらいいと思って送らずに手元に置いてある。
スケジュール的には9割方無理だけど、みさきが日本に戻ってから送っても間に合うから、どうしても時間が作れなかったら送ることにする。

NYまで遠いことなんて俺にとってはどうでもよかった。

少しでもみさきに会えんなら時間なんて少しも惜しくねぇ




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