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最愛 【黒子のバスケ】

第9章 優しい嘘


sideさつき

みどりんに送ってもらって帰ってきたみさきはやっぱり眠そうで帰ってきてから日課のメイク道具のお手入れだけして寝室に入っていった。

みさきが寝室に入って10分経たないくらいで美緒が来て二人で寝室を警戒しながら話をした。

「やっぱりみさき何も覚えてないみたい。言い訳もちょっと足したから」


さっきみさきに説明した美緒とあたしを拾ったことを話してみどりんにもメッセージを入れた。

「そっか。よかった…でいいのかな?」

「うん…多分これでいいんだと思う」

「そうだね。みさきが知ったらきっともう二度と男の人を好きになれないかもしれないもんね」

「そうだよね。それに…」
言ってもいいのか分からなくて口ごもっちゃう。

「何?」

「あたしにとってみさきは親友だし、大ちゃんは幼馴染でどっちも大事なの。こんな時に変かもしれないけど、大ちゃんにも幸せになってほしいって思ってる。あんな風にみさきを大事にしてる大ちゃんを見てると応援したいって思うんだ」

こんな時に何言ってるの⁉って思われるかもしれないけどこれがあたしの本心。
親友のこともあたしとテツ君をずっと見守ってくれた幼馴染もどっちにも幸せになってほしかった。

「そりゃそうでしょ。あの青峰さんを見て応援したくないって人がいたらそれは人じゃない。みさきの事すっごい好きって全身から伝わってくるもん」

「あ、美緒もそう思う?」

「うん。だって電話とかすっごいマメだし、涼太に聞いたんだけど、青峰さんってみさきに関するメッセージだと絶対“触るな”って送ってくるらしいの。触ったらシバかれるっていつも言ってる(笑)」

「何それ(笑)独占欲の塊じゃん」

「でもさ、青峰さんに独占されて嫌な女はいないよ」

「え、あたしは嫌」

「それは幼馴染だからでしょ?あ、まぁあたしも涼太以外は無理だけど」

「だから、それきーちゃんに言いなよ」

「ヤダっ!」

「もー意地っ張りなんだから」


ガチャ…

「あ、おつかれー」


これでよかった。これはみさきの心を守る為だもんね
って美緒と目を合わせる。



嘘には2種類ある。
誰かを守るために必要な嘘と自己保身の為の身勝手な嘘。

嘘をつかないに越したことはない。それでも真実がみさきを壊してしまうくらいならあたしたちはこの嘘をつき続ける。

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