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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


side青峰

家に戻ってからもスマホを離さずにいたらみさきから電話が入った。

切られねぇうちに即座に通話に切り替えると「もちっ!」とか訳分かんねぇこと言ってくるから笑っちまった。

黄瀬が言ってた“ちょっと変”って雰囲気は感じられなかったけど俺が「お前から電話なんて初めてだな」っつったらダメだったかなんて聞いてきたその声が少しだけ震えててやっぱり何かあったんだと思った。

できるだけ優しくどうしたのかと聞いたら深く息をした音が聞こえて「特に用事があったんじゃない」って言って黙るから俺から北海道のことを聞いた。

普通の会話はいつもより少し暗い声だったけど普通にできてた。
それでも無理をしてるんだってことくらい分かる。
しょっちゅう電話してるからみさきの話す時の声はいつも耳に残ってた。

俺が「無理すんなよ」って言ったら黙ったまま震えてる息遣いだけが聞こえてきて泣いてる事はすぐに分かった。



みさきは泣いてるとこを見られたりするのが好きじゃねぇって火神に聞いてたから、俺に泣いてることを悟られたくないんだと思ったし、黄瀬が明け方から撮影に入るとか言ってたからもう寝るように促すと素直に従って電話を切った。


みさきが泣いてる理由なんて全然分からなかったけど、どう考えても嬉し泣きとかじゃねぇことぐらいは分かった。

しんどいと思った時に俺に連絡をくれたことは嬉しかったけど、側にいてやれないことがすげぇもどかしかった。

きっと付き合えたとしてもこういう時は必ずある。けど、それでもみさきは誰にも譲れねぇ。
一緒に過ごす時間がどんなに少なくても、普段どれだけ離れてても俺はみさき以外は無理だ。

泣いてるならなんとかしてその涙を止めてやりたい。怖いことも嫌なこともぜんぶ取り去ってやりたい。


みさきには笑ってて欲しいと心の底から思う。
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